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2002年3月に創刊したスポーツ総合誌「Sportiva」。当ブログでは8/8より開催される北京五輪に向け、注目のアスリートの軌跡をレポートします。
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ROAD to BEIJING
~アスリートたちの夢舞台

スポルティーバ編集部●取材・文・写真 text&photo by Sportiva

 五輪最終日24日の夜。閉幕を告げるカウントダウンの花火が打ち上げられ、五輪旗は北京から2012年の開催地ロンドンへと渡り、北京五輪は17日間の日程を全て終えた。

Dscf0650_3   私はといえば、閉会式の入場チケットはもちろん所持しておらず、この日は開幕式の時も、パブリックビューイングが行なわれた王府井へ。到着すると巨大モニターの前には多くの北京市民や海外からの観光客が集まっていた。しかし、時計の針は午後8:00を指しているにも関わらず、画面には何も映し出されない。

 そこに公安が現われて中国語で何か声をかける。そうすると、人々はその場を去り始めたので、何事かと思うと、現地で知り合った編集者から「モニターが壊れてパブリックビューイングは中止になったそうです」と伝えられがっくり……。「終わりよければすべてよし」のはずだった大会最終日も、開会式同様拍子抜けのまま、自分の北京五輪も幕を閉じた。

 北京滞在が決まったとき、恐怖との隣りあわせで過ごさなければならないのでは……と思っていた。2003年サッカーのアジア杯や、終戦記念日に見られる「反日感情」は個人的に持っていた中国のイメージのひとつでもあった。さらには、開幕前にバス爆発事件、チベット問題や人権問題、テロの危険性などを含め、北京五輪開催を危惧する声もあって、不安材料は数え切れないほどあった。

 ところが、現地に到着してみると、市内のレストラン、売店、一般市民まで、笑顔で対応してくれる北京市民が大半で、店員が「あなたは日本人ですか」と声をかけてくるケースが多く、中には「日本は素敵な国だ」と言う中国人も。中国人は日本に対する嫌悪感をまったく持っていないのではと思ってしまうほどだった。

Dscf0631_2  8月11日には、アメリカ男子バレーボールチームの関係者が刺殺される悲劇が起きたものの、それを除けば “過剰”とも言えるほどの厳重警戒態勢で17日間は過ぎた。IOCのジャック・ロゲ会長は、五輪期間中に指定地域でのデモ申請が認められなかったことに関して「77件の申請が1件も認められなかったのであれば、普通ではない」と中国当局の対応に注文をつけたものの、「極めて満足している」とコメント。しかし、だからといって、すべてが完璧だった、ということでもないだろう。

 たとえば、チケットの問題がある。700万枚を超えるチケットの内、中国国内に75%、海外向けに25%という割合で今回の観戦チケットは分配された。ライターY氏も「現地にチケットカウンターがここまでないとは」と嘆いていたのだが、チケット取材の記者やライターはもとより現地に応援に駆けつけた日本人ファンにとっても、つらい状況だったのではないだろうか。

Dscf0583 Dscf0586  会場の至るところにダフ屋が横行し、彼らはただでさえチケットを大量に持っているにも関わらず、海外からやってきたツアー客から半ば強引に定価で購入し、それをすぐさま別の人に転売していた。価格も高騰し、定価300元(約4500円)が1000元(約16000円)、50元(約800円)が700元(約11000円)に値上がり。さらに、最終日前日の陸上は2800元(約45000円)、バスケットボール男子決勝に至っては5000元(約80000円)というチケットまで存在した。

 JOCジャパンハウスがあるホテルニューオータニに勤務する中国人女性は「(定価のチケットでも)一般の北京市民には高すぎて買えない」と語っていた。実際、北京市民の平均年収は約60万円なので、モノによっては1枚の値段は月収の半分近くに相当する。反面、うまく転売すれば、すぐに月収分を手にすることができる計算なのだから、北京市民がチケット転売にいそしむのも当然なのかもしれない。

Dscf0581  また、会場周辺で英語や中国のポスターを掲示し違法転売を取り締まっていた公安も、その場でチケットの転売を見かけたら「やめなさい」と声をかけるだけで、特にお咎めはなし。転売行為をした100人あまりが摘発されたこともあったが、それは稀なケースで、黙認している公安がほとんどだった。

 会場に入場する際の手荷物検査場のチェックも完全というわけではなかった。入場ゲートが閑散としている場合は、手荷物検査をしたうえに、かばんを開けて「これはなんだ」と問いただし、デジカメなどが入っている場合は電源をオンにして、どういうものなのかを確認するほどの徹底ぶり。ところが、混雑してくるとせいぜい、かばんを開ける程度でチェックも曖昧。こちらが急いでいる素振りを見せると、「O.K」と中身すら確認しないケースもあった。大会期間中、会場で何事も起きなかったので、それでよかったのかもしれないが、個人的には一抹の不安が残った検査体制だった。

 会場内にいるボランティアにも気になる点があった。数多く配置されていたボランティアは親身になって観客をフォローしていたし、私自身も財布を落としたときにそれを肌で実感した。その一方で、本来の役割をすっかり忘れて競技に見入るボランティアや、選手が近くを通れば仕事そっちのけで写真撮影をするボランティアもいた。スタンドにいる記者や観客から「ちゃんと仕事をしてほしいね」という声があったように、高いチケットを購入してようやくの思いで会場に入る人のすぐ隣で、ボランティアのそのような行為があったことは残念でもあり、人数が多すぎたのではないかとも思う。

 中国国民全体としては、痰吐きの禁止や、列に並ぶなどのマナーを国レベルで指導していたようだが、それが効果をあげているようには見えなかった。以前よりは減っていたのかもしれないが、客が乗っていても窓を開けて平気で痰やつばを吐くタクシードライバーもいたし、地下鉄では、乗り込む際に列はあってないようなものだった。

 言語については、漢字を使う国同士なので、最終手段として筆談でなんとかコミュニケーションが取れたが、最初、こちらは英語と身振り手振りでなんとか伝えようとしても、相手は中国語で返答をする。要は英語を話せる人の総数が少ないということなのだが、それは私を含めた日本人にもあてはまる可能性もある。2016年の五輪東京招致を考えると、今後の課題のひとつではないだろうか。

 いろいろあった今回の北京滞在だったが、到着してすぐにビザの期間が足りないことが判明して冷や汗をかき、野球の会場で財布をなくし、会場に入ったら日本勢は敗退する「ツヨシ疫病神」説が編集部で浮上したりと、気を落ち着かせる間もなく、あっという間に過ぎ去っていった。

Dscf0672  JOCジャパンハウスでの記者会見では、多くのアスリートが「4年間、この日(北京)のために頑張ってきた」と語っていたように、自分もこの経験を糧に2012年ロンドンをめざし、そして、北京では会場で一度も聞くことができなかった君が代を聞きたい。

4年後にむけて、精進、精進、である。

■ プロフィールスポルティーバ編集部 
新米編集ツヨシ編集部に入って2年目。右も左もわからぬまま、諸先輩がたに迷惑をかけぬよう、日々精進を続ける若手編集者。自称「才能と気合が同居する男」。愛知県出身、26歳。

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使った中国語

① ニイ ハオ マー (お元気ですか)

② ニー ベン レン (日本人)

※ちなみに韓国人はハングォ、中国人はチュングォ

③ サイジェン (さようなら)
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